1. HOME
  2. インタビュー
  3. デジタルサイネージコンソーシアム理事長・中村伊知哉氏に聞く、今までとこれからのサイネージ・後編
2017/06/15

デジタルサイネージコンソーシアム理事長・中村伊知哉氏に聞く、今までとこれからのサイネージ・後編

インタビュー
  • facebook
  • B!
  • 0
twitter
LINE
491 views
img_5070

前編では、事務局の藤崎氏にデジタルサイネージコンソーシアムの活動内容をお聞きしました。

今回は、デジタルサイネージコンソーシアムの発起人であり、理事長でもある中村伊知哉氏に設立の背景からデジタルサイネージ業界の変遷、そして未来をお聞きしたいと思います。

「デジタルサイネージ」という言葉が一般的ではなかった時代から、活動し、ここまで広がっていったのには多くの考えがありました。

デジタルサイネージコンソーシアム設立の背景とは

1241

− 早速ですが、デジタルサイネージコンソーシアム設立の背景はなんだったのでしょうか。

中村氏:「デジタルサイネージコンソーシアムは今年、設立10年目を迎えます。10年前というのはデジタル化が進んで、世の中がスマート化にシフトするタイミングだったんですね。元々は、パソコン・携帯というデバイスに、インターネットでコンテンツを流すっていうのがデジタル化の中心だったんですが、そこに様々なデバイスが登場してきました。それがスマホだったり、タブレットだったり大画面のデジタルサイネージだったりしたんです」

− デジタルから更に進化するタイミングだったんですね。

「はい。一斉にマルチスクリーンになるってタイミングで、それを太い回線で結んで『街のメディアが新しくできるよね』ってことが見えてきた段階でした。それで、デジタルサイネージを新しい産業にしようと。言ってみれば、TV・パソコン・携帯の『次』のメディアを育てようとしていたわけです

− 当時はまだまだデジタルサイネージの設置台数は非常に少なかったんですよね?

「はい。街中でポツポツと出てきたなという状態です。当時、有識者の中では、『屋外の電子看板を増やす』ということが議論の中心となっていたんですが、僕らは、屋外も屋内も商業施設もその他の場所の様々なディスプレイが全部ネットメディアになるということがおぼろげながら見えていたんです

− ということは、デジタルサイネージに関わる人が多くなると。

「まさに。デジタルサイネージは新しいメディアであり、新しい産業なのでこれには異業種同士がシナジーを生む必要がある。だからこそ、異業種を結びつける団体がないといけないということでデジタルサイネージコンソーシアムを設立したんです

デジタルサイネージが広まっていったきっかけは?

shutterstock_360570746

− 今と10年前を比べて、やはり環境は変わっていますか?

「大きく変わったことで言うと、3つあります。1つめはデジタルサイネージが当たり前になったということです。当時は、デジタルサイネージがあそこにできたとか、ここにできたということがそもそもニュースだったんですよ。しかし、今ではない方が不思議になりましたよね」

− 確かに、ない方が珍しいという状況になっていますね。

2つめはデジタルサイネージのネットワーク化です。様々なモノやコトとつながるようになってきた。そして3つめが、広告メディアから『役立つメディア』になってきたということです。防災情報や街の情報などを伝えられるようになってきたということですね」

− これらのきっかけというのはあったんですか?

「きっかけは3.11の東日本大震災です。これが大きかった。震災までは、『広告を楽しく伝えるメディア』だったんですよ。しかし、節電のため東京のデジタルサイネージは電源を全部落としたんです

− 全部電源切ったんですか!

「一方でTVはずっとやっている。その時、『なぜ、デジタルサイネージの電源が切られて、TVはやっているのか?』ということを僕らは凄く考えました」

− それはTVが報道メディアであったから…ということですね。

「そうです。要するにTVは役に立っている。しかし、デジタルサイネージは役に立っていないということではないのか?という考えに行き着きました。だからこそ、みんなの役に立つ『メディアの責任』がデジタルサイネージにもあるのではないかと考えて、災害情報配信などを推進していったんです。そこからグッと役割が広がっていったのではないかと思っています」

— 一般の方々にも認知されはじめたのも、それがきっかけのひとつでもあるんですか?

「そうですね。それで、政府も認めてくれて、2020年に向けて『日本のインフラを整備する』ということにおいての大事なことのひとつにデジタルサイネージが位置付けられました。外国人がきても防災情報や多言語情報がわかるようにする、ということにおいてデジタルサイネージの右に出るものはいないですからね」

デジタルサイネージが2020以降も使われるために必要なこと

img_5035
デジタルサイネージコンソーシアムや中村氏が関わった著書

− 2020年以降も残っていくメディアとして、災害情報配信以外に必要なのはどのようなことなのでしょうか?

「まず、サイネージがエンタメからインフラになるということですね。そのためには、もっともっと役立つ情報を配信していかなければなりません。そして、重要なのは『繋がる』ということだと思います」

− 繋がるとは具体的にはどのようなことでしょうか?

「ここ最近で、やっとデジタルサイネージはネットワークメディアになってきました。しかし、まだまだ足りないと思っています。例えば、サイネージで気がついて細かい情報をスマホで知るということにおいて、サイネージとスマホのシステムが繋がっていなければいけない。更に言うと、ソーシャルメディアとも繋がっていくということも必要です。要するに、次の段階のスマホやソーシャルとの連動、加えて、AIとの連動も必要になってくると思っています」

− なるほど。実際、日本のデジタルサイネージというのは、世界に比べると進んでいるものなのですか?

「僕は、日本のデジタルサイネージって結構世界でもリードできているなって思っています。というのも、デジタルサイネージって総合産業なので、デバイスがあってネットワークがあってコンテンツがあってようやく完成するものです。結局は『総合力』が大事なんですよ。その意味でいうとネットワークのインフラは日本が進んでいますよね」

− そうですね。インフラは日本の強みだと思います。

「ディスプレイに関してはアジア勢に押されている部分もありますが日本はまだまだ作る力はあるし、コンテンツをつくる能力っていうのは海外に負けていないです。クールジャパンに代表されるようなコンテンツ力がありますから。実際、デジタルサイネージアワードを見ても『これは日本だよね!』という面白いものがたくさんありますからね」

デジタルサイネージコンソーシアムが目指す「今後」

0012

「デジタルサイネージコンソーシアムとして目指していきたいのは、まず短期目標として『デジタルサイネージを一兆円産業にすること』。中期目標としては『インフラとして誰もが頼りにするような、何かあったらサイネージ見ればいいんじゃない?』という存在にすること。そして、長期的には『日本を世界の本場にする』ということですかね」

− なるほど…!!最近、周りで「サイネージ業界に参入しようか迷っている」という声を聞きます。ぜひ最後に、デジタルサイネージ業界に参入しようか悩んでいる会社に向けてメッセージをいただければ!

「『参入するなら今』ということ一言につきます。10年前にコンソーシアムを作ったとき、『これは大きな産業になるかもな』とスタートしてここまできました。
最初は技術主導で、いろんなことを試してきた時期だったんですけど、ビジネスとして巻き取るのはこれからだなと思っています

− 参入するなら今!ですね。

「僕らも意外なんですけど、ここにきて改めてこれまでいなかったプレイヤーから『入りたい』という声をよく聞くようになったんですよ。それって多分、ちゃんとビジネスになろうとしていることの表れなのかなと思っていますね。出来上がった産業だと新規参入しても大変だと思うんですけれど、デジタルサイネージ業界はまだまだ動いていてプレイヤーも変わっていく気がしますね」

2017年で10年目を迎えるデジタルサイネージコンソーシアム。
中村氏は言います。
これからの10年で描き直さなければいけないかなって思っているんですよ。とりあえず、産業として1クール終わりました。次の10年は、『デジタルサイネージ2.0』に入るタイミングなんです」と。

未だ、デジタルサイネージ黎明期にあります。これからの10年でどう変わっていくのか。

SIPOも日本のデジタルサイネージが世界の本場になれるように、陰ながら応援していきたいと思います。

会員登録する
SIPOではデジタルサイネージ業界の最新動向を配信中。
会員登録して、いち早くニュースを受け取りましょう!

「いいね!」で
最新情報をお届け

img_5070