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2016/06/07

「10年先のことをやっていた」ネオマデザイン代表、河野道成氏が語るデジタルサイネージとUXとは?

インタビュー
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ソニー時代に手がけていたインタラクティブサイネージなど、5年から10年やることが早かったんです」と笑みを浮かべながら話すのはネオマデザイン代表取締役、河野道成さん。

河野さんの活動範囲は多岐に渡り、デジタルサイネージプロデューサー、UI/UXプロデューサー、ビジネスプロデューサー、ソフトウェアリサーチャー、次世代向けのUI/UX開発やスペースプロデュースなどもパートナー企業と共に手がけています。

今回は多くの肩書きを持ち、幅広く事業を手掛ける河野さんにデジタルサイネージについて、そして専門分野でもあるUX(ユーザー体験)について、お話を伺ってきました。

− 幅広く、芯を持って打ち込んだからこその広い知見

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河野さんのキャリアの始まりは、ソニーでのネットワークエンジニアから始まったと言います。

河野:「もともとはストリーミングなどネットワークに関する研究をしていました。そこからどんどん業務領域を広げていき、PS3やPSPのネットワークアプリケーションの企画と開発リーダーなどに従事していまして。それに加えて、空間演出のための空間制御研究や人間の感性に関する研究も行っていました

SIPO内でも多く紹介しているように、現在街中では「インタラクティブサイネージ」が数多く見られるようになりました。センサーを使い顔や性別などを認識。そうして、ユーザーごとにコンテンツを変えるというようなモノがその1つです。

河野:「エンジニアをやっている傍ら、2008年頃に、PS3のシステムを使って、今街中で使われているようなインタラクティブサイネージを作成しました。顔認識、性別、動き、何人見ているか?などを感知するサイネージです

まさか2008年ごろから顔認証、性別などを感知するインタラクティブサイネージを作っていたとは驚きです…。そして、そのサイネージを手掛ける際に、河野さんが意識したことがあるそう。

河野:「その当時の街中のサイネージを見ていて、”見られることが当たり前になっているな”と感じたんです。でも実際そんなに見られていないなと。そもそも広告って気付いてもらえないと意味がない。そこで僕が注力したことが、”アイキャッチ” ”アイキープ” ”メモライズ”でした

河野:「”気付いてもらって”、”見てもらって”、”記憶してもらう” ことで広告としての第一段階が終わるんです。その事を念頭に置いて作ったモノを展示会に出したら反応が凄く良くて。それが現在、ソニー・ミュージックコミニュケーションさんで取り扱われているMITENEの原型になっています

SIPO内で紹介したMITENEはインタラクティブサイネージのお手本のようなものです。実はこのMITENEの原型となったコンセプト、企画、インタラクションデザインやエンジンは河野さんが2008年に作ったモノでした。

このように、河野さんは多くの部門をまたがって横断的に仕事をし、芯を持ってインプット・アウトプットをしてきたからこそ、様々な要素を掛けあわせ新しいモノを生み出すことが出来るのです。

それではいくつか河野さんが手がけた作品を紹介していきたいと思います。

− プレデター目線のデジタルサイネージ

これは映画館・新宿バルト9に設置されたもの。映画のトレーラーを放映しているだけではなかなか見てもらえないという意見から、横のディスプレイに「プレデター目線」のサイネージを設置。
ファンの人達からは多くの反響があったそう。また女性に対しては「鏡効果」を狙ったと河野さんは言います。

河野:「鏡効果は”女性は自分が映るものならつい見てしまう”という心理的なモノです。結局はインタラクティブサイネージって”面白ければいいじゃん”ってなってしまいがちなんですが、一人よがりになってしまうのが怖くて。サイネージで”ビジネスをする”ということは、そこにちゃんとした”証拠的根拠”がないとダメなんです

ファンは勿論、それ以外のお客さんをも取り込むためにしっかりとした根拠が必要。”ファン”と”女性客”という溝を”鏡効果”というロジックで埋めているのです。

河野:「そこを履き違えないようにコンテンツを作る。そうしないと、現在インタラクティブサイネージは多くの場所で使われているため、差がでなくなってしまう恐れがあります。しかし、少ない予算でもちゃんとした理論や根拠があれば、ある程度効果は出せるものなんです

− 渋谷TSUTAYAのマーカーレスデジタルサイネージ

こちらはBD発売のPRのために設置されたデジタルサイネージ。機関銃を使い迫り来る宇宙船を撃破するというインタラクティブなARコンテンツです。

仕組みとしては、BDのパッケージをマーカーに見立てた、”ソニーのマーカーレス技術”(普通はARとして読み取るのに、なにか印が必要です。しかし、この技術は簡単に言うと”なんでも印に出来る”という技術)を使用したAR作品です。パッケージをマーカー(印)にし、コンテンツ内で機関銃に変えた理由として河野さんはこう言います。

河野:「渋谷のTSUTAYAでやるということは、ARを読み取るアプリを使うということは無しだと考えました。というのも、ここは比較的年齢層が若く、待ち合わせをする人達も多い場所で友達から連絡が来たらすぐ去っていきます。更に、当時は4Gなんて通ってなかったのでバイナリが大きいとDLに時間がかかったんです。なので、そのちょっとした時間でアプリをDLさせるのって相当ハードル高いんですね。そのようなロジックからシンプルにBDジャケットをかざして遊べるという仕様にしたんです

このように設置する場所に応じてコンテンツやサイネージの仕様を変えていく。空間演出も手がけられるからこそ、深くまで考えることが出来る河野さんならではの視点です。そして、それこそがUXの基本的なことだと言います。

河野:「要は適材適所なんです。サイネージもコンテンツもそうですが、その空間に来る人がなにをしに来て、何を感じるのかを考えて設置・作成をすることが大事だと感じます。技術的に言えば多くのことを取り入れるのは簡単ですが、根本的にそれが”ユーザーのためになっているのか?”ということを考え抜かなければなりません。なので、不必要なものを”削る”ということもUXとしては重要なんです

− UXはものさしでありツールである

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今、1つのバズワードにもなっているUX。それを完璧だと思い込んではいけないと河野さんは言います。

河野:「UXは万能ではありません。。MBAを持っている人が経営している会社が必ず成功するということがないのと同じで、UXを適用すればどんなものでも良くなると思い込むのは危険です。あくまでもものさし、視点を変えるためにUXという観点を取り入れる。そこから見えてくるものを色んな方法で改善することが大切です

今、人が求めるものは”モノ”から”コト”へ変化していっています。
要するに、モノを所有ことより経験することのほうが大事になってきているということです。それに合わせ、とても重要な要素になっていくUXという観点。これからも更にその重要度は増していくことになると感じます。

そして最後に、ネオマデザインの今後のお話をお聞きしました。

河野:「弊社としては、次世代プロジェクションマッピングってなんだろうとか、デジタルサイネージを取り入れた新しい空間の作り方ってなんだろうなど次の一手を随時考えています。それに加えて、新しいデジタルサイネージの自主開発も計画しています。先を見ていないとすぐ追いつかれてしまいますから

更にネオマデザインでは、現在サイネージビジネスをやっていて困っている会社、これからサイネージを導入しようとしている方たち向けてコンサルティングも行っているそう。

約10年ほど前に、今の世界を予見してインタラクティブサイネージや空間演出をしていた河野さん。その目にはこれから先の未来が見えているのではないか。そう感じてしまうほどハッとさせられてしまうインタビューでした。

※河野さんの詳細な経歴、サイネージに関する相談は下記サイトよりどうぞ!
詳細な経歴/ポートフォリオ:https://www.neomadesign.jp/michi/
ネオマデザインHP:https://www.neomadesign.jp/

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